在学生の皆さんへ
研究室って何?
研究室は「型」を身につける道場
『研究室はどこに行っても一緒』と考えている人がいるかもしれませんが、実は、大学生活4年の中で一番成長のスピードが大きいのがこの時期。過ごし方によっては、本当に大きな能力差がこの時期で開きます。
ココで言う能力とは専門性もありますが、『考え抜く強い心』、『困難を乗り越える突破力』、『成功の確率を上げる計画力』、『論理的な日本語力』です。これらの力を一気に身につけることは難しいのですが、道場で仲間と一緒に鍛錬を積めば、必ず修得できます。鍛錬を重ねると、それは「型」となって皆さんの血や肉となり、社会で生き抜くための武器となります。一番成長する今の時期に、正しい『型』を身につけることが重要なのです。
研究室では、一人一人と向き合って、各自が最高レベルにまで能力を高められるように、誠心誠意、指導しています。成長したと思える瞬間を、皆さんと共有できた時が、一番うれしい瞬間です。
レベルアップは非連続
勇者が活躍するロールプレイングゲームを思い浮かべてください。勇者は、敵をバタバタとなぎ倒しながら経験値を徐々に高めていき、経験値がある値に到達した時に突然レベルアップします。研究室での鍛錬も全く同じです。ゼミでの発表や要旨の作成、共同研究企業とのうち合わせ、学会での発表、卒論の執筆や発表など、成果を求められる機会が多々あります。これらは、すべて皆さんの成長のチャンスであり、一つ一つこなしていくことで、「経験値」が手に入ります。でも、レベルアップには、ある程度、経験値を溜める必要があるため、なかなか自分の成長を実感しにくいかもしれません。また、ほとんどの場合、皆さんの今の実力や能力で無難にやり過ごす選択肢もありますが、これは「弱い敵」と戦っているのと同じで、「成長のチャンス」に経験値を多く稼ぐことができません。「ちょっとしんどい」と感じる程度の負荷で頑張るっていると、ふと気付いた時に、皆さんは新しい能力と視点を手に入れることが出来ます。これが「レベルアップ」の瞬間です。
レベルアップした世界で見えること
レベルアップすると、これまでのレベルでは見えなかった世界が見えるようになります。物事をより俯瞰的に捉えられるようになり、長期的に計画を立てられるようになり、1時間かかっていた作業が10分で終わるようになります。また、今まで挑戦できなかったような、大きな課題に挑戦できるようになります。この鍛錬を続けていると、自分の『型』が見えてくるようになります。この自分の型を修得した時こそ、免許皆伝となります。
皆さんの先輩の中にも、学部・修士を通して、グイグイ成長した先輩がたくさんいます。もちろん、会社でも会社外でも、大活躍しています。
どんな研究するの?
水を強みにする
研究は、皆さんが成長するためのツールです。学生の性格・能力と研究室で使える資源を考慮して、研究テーマを決めています。
学部では、水に関連する授業がいくつかありましたが、水を扱うために必要な専門知識をすべて網羅している訳ではありません。なので、研究室に配属された後に、基本となる知識をきちんと学習します。教科書を読むだけでなく、現場に行ってそこで働く人や現場の課題を自分の目で見ることも重要です。
現在では、様々な専門家と一緒に仕事をする機会が多い一方で、自分に専門性がないと、異分野の人と仕事をすることは出来ません。分野をまたいで仕事をするには、まず、皆さんが何者かになる必要があるのです。
水の専門家は、技術だけでなく、経営や都市計画もマスターしているスーパー技術者が多いのが特徴です。処理場を設計したり、新しい水処理装置を開発したりするだけでなく、今では、市民が一体となった街作りや持続可能な循環型都市のプランニングなどにも展開されています。水インフラは、市町村の持続的な運営があってこそ、安定した管理が可能となります。そのためにも、水の専門家が、市町村の経営や都市計画を支援する事例も出てきています。
学部で求められること、大学院で求められること
学部で求められる能力と、大学院で求められる能力は全く違います。学部では、基本を習得し、自信を持って一人で研究を進められるようになることです。研究は、HPに公開しているように、たくさんの分析装置や解析方法、ツールを駆使して実施することが多いです。まずは、これらのツールの原理を理解し、きちんと使いこなせるようになることを目指します。また、日本語で論理的かつ印象的なレポートが書けるように、繰り返し訓練を重ねます。
大学院修士課程では、人、物、お金、時間を管理しながら、自分で研究を進められるようになることです。目標を達成するためには、上のリソースをうまく使いながら、自分で物事を進められる力が必要です。まずは、研究を自分事として捉えることが重要です。また、論文を探し、まとめることで研究の背景を理解することが重要です。さらに、仮説を立てながら、実験計画を立てることも必要です。PDCAを自分で回せるようになることを目指します。
大学院博士課程では、研究テーマを見つけられるようになることです。博士課程は、暗闇の中から光を見つける作業です。自分の研究テーマを見つけ、その分野に重要な進歩をもたらすことで、研究者としての第一歩を踏み出します。論文を執筆し、海外で発表し、人脈を広げることで、将来の道が開けます。将来の自分の道を探求する、貴重な時間です。
研究内容
研究は、皆さんが成長するためのツールです。学生の性格・能力と研究室で使える資源、研究室の理念を考慮して、研究テーマを決めています。一人1テーマとし、進捗を理解しやすいようにしています。
以下は、研究室の理念です。
- 「自然からのおくりものである水」を健全に循環するため、研究・教育活動を通じて、必要以上に採取することなく、汚れた水は環境に負担ないように自然に返し、流域内のステークホルダーに生態系サービスとしての利益を享受できるようデザインすることで、文化的で活力のある地域・社会作りに貢献します。
- 「いのちの源」である水道を、いつまでも安全かつ安心できるインフラとして、世界中のすべての住民に提供するために、都市インフラのスマート化、デジタル化、自分事化に向けて、新しい技術と思想を生み出し、人々のいのちと便利な暮らしを守ります。
- 「固-液分離」をコア技術として、食品や工業製品の生産プロセスの効率の向上、生産性の改善に貢献することで、人の豊かな暮らしを支えます。
現在の研究は、これまで多くの研究者の功績の上に成り立っております。何が明らかになって、何が分かっていないかを知った上で、研究テーマを選択しないと、皆さんの時間と、研究にかけた資金と知能が無駄になってしまいます。4年生は、いくつかの研究テーマについて私が背景と課題を説明し、その中から興味があるテーマを選択してもらう場合が多いです。修士に入った際に、テーマを変えた学生もいます。4年生の間にたくさん論文を読み、これまでの知見をまとめることで、「研究テーマ」として取り組むことができます。
卒業・修了後は?
民間企業
一番多い進路が民間企業への就職です。研究室の学生が水関連企業への就職を希望する場合、最大限、就職活動を支援しています。水に係わる仕事は、景気の波に影響されず安定し、やりがいのある仕事が多いのが特徴です。また、処理技術だけでなく、経営、営業、企画、IT、広報、計画、教育など、様々な分野の職種があります。必ず皆さんが活躍できる場が見つかるはずです。
上下水道コンサルタントの例
日水コン(2)、NJS(3)、東京設計事務所(2)、日本水工設計(2)、オリエンタルコンサルタント
建設コンサルタントの例
日本工営(3)、八千代エンジニアリング、建設技術研究所
エンジニアリング会社の例
メタウォーター(1)、水ing(2)、フソウ、水道機工、
電気設備会社の例
明電舎(1)、東芝、日立(1)、
メーカーの例
クボタ、JFEエンジニアリング(1)、新明和、ゼニス羽田、東亜グラウト、石垣(1)、月島機械、積水化学、三菱ケミカル(1)、住友電工(1)、東レ、オルガノ(1)、栗田工業(1)
維持管理会社の例
ヴェオリア(1)
公務員
国家公務員と地方公務員があります。上下水道事業は、地方自治体の役割です。地方公務員、国家公務員共に、早期に公務員試験対策をする必要があります。試験対策等、相談にのれますので、希望する場合は早めに連絡してください。
協会・団体職員
水道協会
起業
起業を志す学生もおります。研究テーマによっては、起業出来る可能性があるテーマもいくつかあります。研究を進めつつ、将来的に研究を起業へと繋げたい学生がいたら、歓迎します。学内で「起業クラブ」を立ち上げたので、興味があるようでしたら、お声掛けください。
RePublicWater合同会社
Q&A
コアタイムがあるって聞いたんですが、毎日大学に来ないといけないんですか?
コアタイムを設けていますが、大学には、必要に応じて来ることにしています。
コアタイムですが、4年生は11:00〜16:00にコアタイムを設けています。これは、規則正しい生活のリズムを作るための訓練を目的としています。4年生は、能力UPにとって、とても重要な時間です。しっかりと学習の習慣をつけ、分からないことがあったら、すぐに私や先輩に聞いてほしいと願っています。あとは、研究を始めると、朝遅く起きて、夜中まで実験する生活スタイルになる場合が多々見られます。多くの場合、このような生活リズムだと、研究も心も良い状態になりません。計画的に研究を進める意味でも、朝型での生活リズムをこの時期に身につけてほしいと思っています。
修士の学生に対しては、コアタイムはありません。自分で毎週の計画を立ててもらいます。
毎日遅くまで帰れないって聞きました。本当ですか?
上に書いたように、基本的に、必要に応じて大学に来ることになっています。9時頃に大学に来て、16時には帰宅している人もいます。一方で、年に数回、その日のうちに作業を完了しないといけない日もあります。バイオの実験などは、微生物は待ってくれないので、計画的に実験を進める必要があります。
いずれにしても、遅くまで帰れないことはありません。(私と丁青さんは、いろいろな仕事があるために、毎日遅くまで仕事していますが・・・)
物理と化学が得意でないと、きついですか?
水分野は、いろんな研究があります。物理、化学、生物が得意な人は、水処理や原理の探求、環境分析などにチャレンジすれば良いですし、ITや統計が得意な人は、浄水場のビックデータや画像データ、市町村のデータを使ったモデル構築の研究に取り組むことをおすすめしています。また、理系科目はちょっと・・・という人は、住民参加型ワークショップについての研究も可能です。特に、これが出来ないと、という科目はありませんが、他の人の研究を理解したり、就職の際の可能性を広げるためにも、研究室に入ってから物理や化学などを徐々に勉強してもらえればと思っています。
修士に行った方がいいんですか?
できれば、修士に行ってほしいと思っています。2年あれば、格段に仕事を進める能力が上がるためです。今まで皆さんの先輩を見ていても、この2年間の成長はすさまじく大きいと感じています。
学費が心配な方は、私にご相談ください。
アルバイトはできますか?
4年生の場合、コアタイム外であれば、アルバイトをしても全く問題ありません。土日も、当然、可能です。実際、研究室の多くの学生がアルバイトしながら、研究しています。
研究室の年間行事を教えてください。
4月 お花見(留学生は、はじめてのお花見です)
5月 キャンプ(有るときと無いときがありますが・・・)
7月 BBQパーティー (OBの皆さんも呼びます)
8月〜9月 国内・国際学会 (頑張れ修士!)
10月 新メンバー歓迎会(新メンバーを)
11月 見学会 (浄水場や下水処理場などを一泊二日で見学します)
12月 忘年会 (Obの皆さんも駆けつけます)
1月 初詣 (これをやらないと、不幸になります)
2月 卒論・修論発表会
3月 追いコン
今年はコロナの関係で中止のものが多いですが、少数で、分散してコミュニケーションを図っています。
1年、早いですね。
遠隔で研究はどうやって進めているんですか?
2020年、大学がコロナウイルスの関係で入校禁止になった際に、研究室の機能をオンライン化しました。固定されたデスクをフリーアドレスにすると共に、ラップトップPCの配付、コミュニケーションツール、タスク(目標管理)ツール、スケジュール共有ツール、オンラインディスカッションツールを導入し、いつでもどこでも必要な情報にアクセスでき、適切な研究指導や、気軽に相談ができる環境を整えました。実験データを取得するのは実験室以外では難しい場合がありますが、データ整理や資料作成などは、自宅でも作業することが可能です。新しいスタイルの働き方を修得し、社会でも活躍できる人材の育成を目指します。
共同研究を実施している企業を教えてください
2020年度は、省庁や地方自治体を入れると17社と共同研究を実施しています。どの企業と何の研究を実施しているかについては、ほとんどの場合、秘密保持契約を締結しているため、HPでは公表することができません。興味があるようでしたら、別途、山村までご連絡ください!
研究室の見学は可能ですか?
可能です。調整しますので、山村までご連絡ください。